【 舞 】 「四郎ちゃん……来て……」
   前屈みの格好のまま、姉さんが両手を左右に広げる。
【 四郎 】 「えっ……」
【 舞 】 「昔みたいにギュって抱き締めてあげる。辛いこと、嫌なこと……全部、忘れられるように……。
 だから、来て、四郎ちゃん」
【 四郎 】 「ね……えさん……くっ……」
   情けなかった。でも、それ以上に我慢出来なかった。姉さんの優しい言葉、優しく甘い香りに……。
【 舞 】 「あんっ……」
   感情を抑えられなくなった俺は、姉さんの胸の中に飛び込むように抱きついた。
【 四郎 】 「姉さん……っ……」
   両手を姉さんの背中に回し、温かくて柔らかい乳房に思いきり顔を埋めていく。
【 舞 】 「あぁ、四郎ちゃん……」
   俺が乳房に顔を埋めると同時に、姉さんは左右に広げていた両手を俺の後頭部に回し、胸の中に
 包み込むように抱き締めてくた。
   あぁ、なんて心地いいんだ……。
 この心が安らぐ感じ、そう、母さんに抱き締めて貰ってる時と同じ感じだ。
   母さんと姉さんの二人は俺がくじけそうになった時、必ずといっていいほど、こうやって、
 俺のことを慰め、そして励ましてくれた。
   七菜のに対して甘えん坊だって、よく言ってるけど俺も七菜のこと言えないな。
 そんなことを思いつつも、姉さんの温かくて優しい、そして甘い香りのする乳房に積極的に顔を埋め込んでいく。
   若干の息苦しさを感じたが、心地よさの方が遥かに勝っていて、姉さんの胸の中にこのままずっと
 包まれていたいと思ってしまった。
【 舞 】 「んっ、四郎ちゃん……どう? 少しは楽になれてる?」
【 四郎 】 「少しどころか、すごく楽な気持ちになってる。何もかも嫌なこと忘れて、すごく心地いい……」
【 舞 】 「そうなんだ。いいよ、四郎ちゃん。四郎ちゃんが楽になるまで、ずっとこうやって抱き締めていてあげる……」
   優しい声で囁くと、姉さんは左手でグイッと俺の後頭部を押し込み、より強く乳房へと顔を押し付け
 そして右手で俺の頭をなでなでと撫でさすってくれた。
【 四郎 】 「あぁ、姉さん、姉さん……」
   七菜が俺に甘えてくるのと同じように、スリスリと姉さんの柔らかくて心地の良いおっぱいに頬を
 何度も何度も擦り付けていく。
【 四郎 】 「面目ない。毎晩、寝る前に明日こそ早く起きようって思ってるんだけど、どうにもこうにも……」
   朝、なかなか起きられないのは自分でもよく理解しているのだけど、こればかりは己の意志でどうにも
 なるものではなかった。
【 四郎 】 「そんなこと……出来るわけないじゃないか。俺はもう子供じゃないんだから、いつまでも
 甘えてなんていられない」
【 四郎 】 「逆に姉さんに甘えて貰いたい、そして俺が姉さんを守ってあげるんだ」
【 舞 】 「そうなんだ。ふふ、四郎ちゃんにそう言って貰えてとても嬉しい。でもね、私にとっては四郎ちゃんは
 四郎ちゃんだから」
【 舞 】 「大切な家族で、可愛い弟、そして愛おしい……」
   右手で頭を撫でるのを止めると、姉さんは両手で俺の頭を強く抱き締め、スリスリと頬ずりをしてきた。
【 四郎 】 「姉さん……?」
【 舞 】 「ううん、なんでもない。私にとって四郎ちゃんはとっても大切な愛おしい存在なんだよって、
 そう言いたかったの」
【 四郎 】 「そんなの、俺だって同じだよ。姉さんは俺にとってメチャクチャ大切な存在だよ。
 もちろん母さんも七菜も……みんな俺の大切な、世界で一番、大切な存在なんだ」
【 舞 】 「だったら、ずっとうちに居て。四郎ちゃんと離ればなれになるなんて、そんなの私は嫌、考えたくもない……」
【 舞 】 「ううん、私だけじゃないわ。お母さん、七菜も、四郎ちゃんの話を聞いたら絶対に私と同じ事を言うと思う」
【 四郎 】 「……」
【 舞 】 「だから、ここに居て。どこにもいかないで、四郎ちゃん……」
  俺を抱き締める姉さんの両手に力がこもる。
【 舞 】 「姉さん……っ……」
  姉さんに対して何も答えられないまま、俺は姉さんの胸に顔を強く、強く埋めていった。