【 葵 】 「えっ……」
【 響 】 「あっ……」
 

 いつもの調子で勢いよく扉を開けると、そこには両手をあげ、今まさに上着を脱ごうとしている葵さんがいた。

【 葵 】 「……」
【 響 】 「……」
 

 俺はもちろん、葵さんもさすがにこの事態は想定外だったのか、お互いに声も出せず、その場で
 凍り付いてしまう。
 しかし、この状況は……っ……。
 葵さんのお、おっぱいがこんなに目の前に……。
 服を脱ぐために両手を上げ背中を反らしているせいもあり、おっぱいがどーんと前に突き出された感じになり、
 ブラ越しながら、その美巨乳ぶりがうかがえる。
 おまけに両手をあげてしまっているせいで、綺麗な脇もモロ見え状態。
 ヤバイっ、頭の中が沸騰しそうになってる。っていうか、もうしてる!!
 思考は完全停止状態。ジロジロ見るべきではない状況にも関わらず、服を脱ぎかけのままでいる葵さんの
 身体に見入ってしまう。
 な、なにか言わないと……。
 でも、なんて言えばいいんだ?
 頭の中は真っ白で、まともに物事を考えることが出来ない。
 ただ、頭の中にあるのは、魅力的な葵さんの身体をもっと見たいという動物として本能のみ。

【 響 】 「ごくっ……」
 

 目の前にある美乳に魅入られるようにスッと顔を近づけていき、ごくりと生唾を飲み込む。

【 葵 】 「っ!? ひ、響くんっ!?」
 

 スッと俺が頭を動かすと、動きを止めていた、葵さんがハッと我に返り、驚きの表情を浮かべる。

【 響 】 「はっ!?」
 

 驚きの表情で俺の名前を呟く葵さんに俺もハッと我に返り、慌てて胸元に近づけようとしていた頭を元に戻す。

【 響 】 「葵さん……えっと、これは……」
 

 着替えを覗こうと思って洗面所に入ったわけではないことを説明しないといけないのだが、
 混乱しているせいで適当な言葉が出てこない。

【 葵 】 「きゃっ!? 響君っ、どこ見てるのよ!」
【 響 】 「いや、どこって、葵さんですけどっ、あっ、いや、俺は覗きに来たわけじゃなくてっ、放りっぱなしだった
 服を元に戻しに来ただけです!」
 

 今、言えることを精一杯、言葉にして言い訳を試みる。

【 葵 】 「故意かどうかはいいから! とにかく後を向いて!」
 

 ビクッとしながらその場で回れ右で着替え途中の葵さんから視線をそらす。

【 響 】 「あのっ、すみません! これは故意じゃなくて、そこに脱ぎっぱなしだった自分の洋服を洗濯機に
 入れ忘れて、戻ってきただけです!」
【 葵 】 「そ、そのことはいいから。とりあえず、出て貰える? このままじゃ、わたし、お風呂に入れないから」
【 響 】 「あっ、そうですよね。すぐに出ていきますから、ごゆっくりどうぞ」
 

 混乱を続ける頭の中で何とか言葉を紡ぎ合わせ、俺は洗面所から出て、駆け足で自室へと戻った。