| 【 真理香 】 | 「おい、大丈夫か?」 |
寝転び息を荒くしている俺を、真理香さんが心配そうに覗き込む。 |
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| 【 翔太 】 | 「ハァ、ハァ、まあ、何とか大丈夫です」 |
| 【 真理香 】 | 「少しは期待したんだが、ターンした後はダメダメだったじゃないか」 |
| 【 翔太 】 | 「いや、コーチのターンが速すぎ。遅れを取り戻そうとして、ペース配分がメチャクチャに、ハァ、ハァ、 とにかくコーチに勝てないのは、よくわかりました」 |
| 【 真理香 】 | 「お前のことだ。どうせ、歳を取ったあたしは昔のように速くないだろう、なんて思っていたんだろう?」 |
| 【 翔太 】 | 「そんなこと思ってなかったですよ。ただ現役じゃないから、もしかしたら勢いで押し切れるかも、とは 思いましたけど」 |
そう答えながら、視線を真理香さんの胸元に向ける。 |
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| 【 真理香 】 | 「うんっ? おい、こら、松風。お前、いったいどこを見てるんだ?」 |
俺の視線が乳房に向けられているのに気がついたのか、真理香さんが頬を赤らめながら俺を睨む |
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| 【 翔太 】 | 「すみません。なんていうかコーチはいつ見ても若々しくて綺麗だなって、改めて思っていたとこです」 |
| 【 真理香 】 | 「世辞なら結構。まったく困った奴だ。ほら、立てるか?」 |
満更でもないのか真理香さんが僅かに頬を赤らめながら、へばっている俺に対して右手を差し伸べてくれる。 |
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| 【 翔太 】 | 「たぶん」 |
差し伸べられた右手を握り締めると、グイッと真理香さんが引っ張り上げるように立たせてくれた。 |