がちゃ……。
湯船から出た所で――不意にバスルームの扉が開いた。
【 拓己 】「えっ?」
【 拓己 】「へっ?」
【 唯 】「あっ……」
【 拓己 】「……」
【 唯 】「……」
あまりに突然の出来事に、俺も唯ちゃんもその場で硬直して動けない。
【 唯 】「お、お兄さん……は、裸……」
【 拓己 】「はっ!? っっ!?」
俺は慌てて股間をタオルで隠すと、勢いよく湯船に飛びこんだ。
【 唯 】「えっ……あっ! ご、ご、ご、ごめんなさい! わたし、そのお兄さんが入ってるなんて知らなくて、それで、えっと、その……」
【 拓己 】「なんでもいいから、早く扉閉めて! その……見えてるから」
【 唯 】「えっ?」
【 拓己 】「唯ちゃんの裸! 見えてるから、早く!」
【 唯 】「えっ、あっ!? きゃあっ!?」
俺の指摘に、唯ちゃんは慌ててバスルームの扉を閉めた。
【 唯 】「あ、あの、ホントに、ホントにごめんなさいでした!」
がさがさという音共に、パタパタと唯ちゃんが走り去っていく音が聞こえた。
【 拓己 】「ふぅ……」
まいった。まさか唯ちゃんが入ってくるなんて……。
見られちゃったよなぁ、完璧に……。
そして見ちゃったよ、唯ちゃんの裸……。
ついてないのか、ついてるのか……トホホ……。