【 疾風 】 「永遠さん、いるかな」
 

 大社にいるかどうか、携帯に連絡してから来ればよかったな、と思いつつ境内を見渡し、永遠さんの姿を探す。

【 疾風 】 「あっ、いた。永遠さん!」
 

 本殿の前で永遠さんの姿を見つけた俺は、声をかけながら永遠さんの元へと駆け寄っていった。

【 永遠 】 「あら、疾風さん。ふふ、こんにちは」
 

 境内の清掃をしていた永遠さんに声をかけると、温かで母性に満ちた笑顔で挨拶をしてくれた。

【 疾風 】 「こんにちは。お久しぶりです」
 

 優しくて温かい、それでいて艶のある笑みに、ちょっとだけドキドキしながら挨拶を返す。
 目の前の女性は、初瀬永遠さん。
 見ての通り、この大社の巫女の仕事をしている。それもバイトとかじゃなくて、正真正銘、本物の巫女さんだ。
 永遠さんとは遠縁の親戚で、父さんと母さんと仲が良く、昔から自分を含め、家族ぐるみで
 仲良くして貰っていた。
 とても優しい女性で、姉、いや母親のように、大社や家に寄った自分や姉さん達の相手を
 してくれていたんだけど……。  5年前に自動車事故で旦那さんと一人息子を亡くしてしまって、
 永遠さんは失意の底に陥ってしまった。
 そんな永遠さんの様子を見た父さんと母さんは、後追いで自殺するんじゃないか? と心配になったらしい。
 それで父さんと母さんに頼まれ、俺は定期的に……週に2日、3日くらいの割合でこうして
 永遠さんの様子を見に大社、あるいは永遠さんの家を訪れていた。
 昔は姉さん達と交互に来ていたけど、春姉がバイトを始め、冬姉と夏姉が部活動を始めてからは、
 こうして永遠さんに会いに来るのはもっぱら俺の役目になっていた。

【 永遠 】 「久しぶりですね。二週間ぶりですか」
【 疾風 】 「そうなりますね。すみません、父さんと母さんが旅行に出かけることになって、
 ゴタゴタしていたせいでなかなか来れなくて……」
【 永遠 】 「いいえ、気になさらないでください。少しだけ寂しかったですけど、
 こうして会いに来てくれましたから嬉しいです」
 

 謝る俺に、永遠さんは首を振りながら優しく微笑んでくれた。

【 疾風 】 「父さんも母さんも無事に旅立ったので、明日からできるだけ寄るようにします。
 さすがに毎日は無理かもしれないですけけど」
【 永遠 】 「毎日なんて、とんでもない。疾風さんが暇な時だけ、ここに来たいと思った時だけ、
 私に会いに来て頂ければそれで構いません」
【 疾風 】 「あっ……」
 

 照れたように頬を赤らめる永遠さんにドキッとしつつ、ついついその魅惑的な胸元に視線が向いてしまう。
 ちょっと、いや、かなり緩い胸元から見える豊かな乳房の谷間は、とてつもなく魅惑的でよくないと
 理解しつつも目を奪われてしまう。
 なんていうか、いつ見ても魅力的な女性だ。
 日本人ではあり得ないキラキラと光る銀髪に、グラビアアイドルも真っ青なナイスバディ。
 その神々しいとも言える永遠さんの魅力に俺は強く惹かれ、女性として強く意識する時期があった。
 まあ、ぶっちゃけると、初恋の女性だったわけだ。
 もちろん永遠さんは、旦那さんがいて子供もいる人妻だったから、俺の初恋は実りはしなかった。
 さすがに今は昔のように意識することはなくなったけど、それでも永遠さんは、俺の中では
 とても魅力的な女性だった。

【 永遠 】 「くすっ、疾風さんたら、そんなに胸元ばかり見られたらさすがに恥ずかしいです」
 

 ボケッとしながら遠慮無く胸元をガン見していると、永遠さんが頬を赤く染め、
 恥じらいながら後を向いてしまう。

【 疾風 】 「はっ!? ごめんなさい!」
 

 言い訳のしようがなく謝るが、後を向くのに合わせてたぷんっと弾んだ乳房。
 大きさや形がくっきりとわかる横乳のシルエットに、胸の鼓動がより一層早くなってしまう。