【 永遠 】 「わぁ、見てください。大社があんなに小さく見えます」
 

 少女のように瞳をキラキラとさせながら、大観覧車から見える風景に永遠さんが見入る。

【 疾風 】 「あれ、そこに見えるのって永遠さんの家じゃないですか? ほら、大社の裏手のところの瓦屋根の家」
【 永遠 】 「うふふ、はい、たぶん私の家だと思います。よく見つけましたね」
【 疾風 】 「俺、視力2.0なんで、結構、遠くの細かいところまで見えるんです」
 

 ニコニコしながら俺を見る永遠さんにそう伝えると、俺はすぐ目の前に座っている永遠さんを見つめた。
 綺麗な銀髪に優しげな表情を浮かばせている顔。圧倒的なボリュームを誇る乳房。その乳房に負けないくらい
 大きなお尻。白くて綺麗な腕。
 ゴンドラから見える景観に負けないくらい、いや、俺的には景観以上に美しく魅惑的な永遠さんの身体に
 見とれてしまう。

【 永遠 】 「あ、あの、私の身体、どこか変でしょうか?」
 

 身体を凝視する俺に気がついた永遠さんが、頬を赤らめ、少し困ったような表情を浮かべる。

【 疾風 】 「変なんかじゃないですよ! その、永遠さん、相変わらず綺麗だなってそう思って、見とれてたんです」
【 永遠 】 「そんな、綺麗だなんて……あまりからかわないでください。私、困ってしまいます」
【 疾風 】 「からかってなんてなんていません。本当にそう思ったから言ったんです。俺にとって、昔から永遠さんは
 凄く綺麗で魅力的な女性だったから」
【 永遠 】 「疾風さんから見れば、私なんておばさんです。ですから、そんな魅力的だなんて言われても……」
【 疾風 】 「確かに歳は離れてるかもしれませんけど、そんなの関係ない。俺に言わせれば、ここからの景色よりも
 永遠さんの方が綺麗です」
 

 メチャクチャ恥ずしくて照れくさかったが、場の雰囲気に押される形で、永遠さんへの想いを口にしていく。

【 永遠 】 「さすがにそれは大げさだと思いますが、疾風さんにそう言って貰えるのは、とても嬉しいです」
【 疾風 】 「あの、永遠さん。この前、永遠さんに会いに行かなかったのは、ちょっと考え事があったからって俺は言ったの
 を覚えてます?」
【 永遠 】 「ええ、もちろん覚えています」
【 疾風 】 「その考え事って、永遠さんのことなんです」
【 永遠 】 「えっ、私のことですか?」
【 疾風 】 「はい。海水浴に行ってから、俺、永遠さんのことばかり考えるようになっちゃって、家にいる時も受業中も
 ずっと永遠さんのことを考えてました」
【 永遠 】 「あっ……」
 

 俺の言葉に永遠さんの頬だけでなく、顔、そして首筋が赤く染まっていく。

【 疾風 】 「でも、そのせいで永遠さんに会いに行けなかったんです。永遠さんに会いに行ったら、必ず甘えてしまう。
 前みたいに膝枕して貰って、その……」
【 疾風 】 「おっぱい吸いたいってお願いして、甘えてしまう。だから俺、永遠さんに会いに行けなかったんです」
【 永遠 】 「そうだったんですか。遠慮なさらず、甘えに来てくださってもよかったのに……」
【 永遠 】 「私、疾風さんに甘えられるのも、おっぱいを吸われるのも、嫌ではありませんよ?」
【 疾風 】 「あっ、違うんです。甘えておっぱいを吸わせて貰うだけじゃ、我慢出来そうになかったから、
 永遠さんと会えなかったんです」
【 永遠 】 「我慢出来そうにないって、あの、それはどういうことでしょうか?」
【 疾風 】 「それは……俺、甘えておっぱい吸うだけじゃ我慢できなくなって、永遠さんを抱きたいって、
 そう思ってたからです」
【 永遠 】 「えっ、抱きたいって、わ、私をですか?」
 

 俺の言葉に、永遠さんが顔を真っ赤に染め、どこか困ったような表情を浮かべる。

【 疾風 】 「はい、そうです。今だから言えるけど、永遠さんは昔からずっと俺にとって憧れの女性で、
 初恋の相手なんです」
【 永遠 】 「私が疾風さんの初恋の相手……」
【 疾風 】 「そうです。そして、俺の初恋は終わらずに続いているんだ。海水浴の時に気付いたんです。
 俺は今でも永遠さんの事が好きなんだって」
 

 勢いに任せるままに、胸の奥に溜め込んでいた永遠さんに対する気持ち、想いを一気に吐露した。

【 永遠 】 「あっ、は、疾風さん……」
 

 突然の告白に顔を赤くしながら、永遠さんが戸惑いの表情で俺を見る。

【 疾風 】 「永遠さんから見たら俺なんて子供みたいに見えるかもしれないですけど、俺、永遠さんのこと、異性として、
 一人との女性として好きです」
 

 だめ押しのように、永遠さんに力強く想いを告げる。

【 永遠 】 「あの、急にそんなことを言われても、私、どうしたいいのかわからいです」
 

 両手を膝の腕でギュッと握り締め、顔を真っ赤に染め、身体をモジモジとさせる。

【 疾風 】 「あえて言っておきますけど、嘘とか冗談じゃないですから。俺、本気で永遠さんの好きです」
 

 自分の気持ちや想いは本気です。そう強く思いながら永遠さんを顔を真っ直ぐに見つめる。

【 永遠 】 「あっ……」
【 疾風 】 「あのっ、俺じゃダメですか? 俺と付き合ってくださいって言ったら迷惑ですか?」
【 永遠 】 「いえ、そんな駄目ではありません。ですが、私には夫と子供がいたんですよ? ですから、その、
 私の言っている意味わかりますよね?」
【 永遠 】 「歳も離れていて、夫との間に子供までもうけていた私が疾風さんの交際相手として相応しいとは
 思えないんです」
【 疾風 】 「そんなことない。それ永遠さんの勝手な思い込みです。永遠さんに旦那さんと子供がいたことくらい
 昔から知ってます」
【 疾風 】 「けど、そんな昔のこと、過去なんてどうでもいい。俺はこれから先の時間を永遠さんと過ごしたい、
 そう思ってるんです!」
 

 迷いなくハッキリとした口調で伝えると、俺は永遠さんの左手をそっと握り締めた。